TOLAC希望はエゴ??
まず最初に…
結論から言うと、TOLACを希望することはわがままではありません。
ただし、正しい情報を理解し、医療体制の整った環境で選択することが前提だと考えています。
本記事は、TOLACを希望する個人が、当事者として自分なりに調べたり、考えをまとめたりしたものです。医学的見地に基づいてTOLACを推奨したり批判したりするものではありません。
また、個人の考え以外の部分は、可能な限りリソース元を引用として記載しています。詳細はリソース元をご覧ください。
海外機関と日本での反応の違い
TOLAC(試験帝王切開後の経腟分娩)は、既往帝王切開の妊婦にとって合理的な選択肢とされており、アメリカのNIH(National Institutes of Health/国立衛生研究所)やACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists/米国産婦人科学会)が、TOLACは多くの既往帝王切開後妊娠の妊婦に適していると発表しました。
Expanding safe TOLAC programs may reduce unnecessary repeat cesarean deliveries in high-fertility settings.
※日本語訳:安全なTOLACプログラムの拡充により、高出生率の環境で不必要な再帝王切開の減少が期待できます。 Vaginal birth after cesarean: maternal and fetal outcomes in a multicenter study - PubMedVBAC success rates in this cohort aligned with contemporary international benchmarks and demonstrated favorable maternal outcomes in appropriately selected pati...
安易な帝王切開は避けなければならないという指摘は当時からあり,1988年にAmerican College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG) が帝王切開既往例に対する経腟分娩を推奨する提言6)を行ったため,TOLACが盛んに行われるようになった.
https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p011-016%2031.pdf
また、TOLAC推奨という文脈ではないものの、WHO(World Health Organization/世界保健機関)は、帝王切開による出産増加に懸念を示しています。
帝王切開のすべてが、医学的な理由で必要とされているわけではありません。 不必要な外科手術は、女性にとっても赤ちゃんにとっても有害です。
帝王切開による出産増加に懸念 | 公益社団法人 日本WHO協会
しかしながら、日本ではTOLACという言葉を知らない人も多い上、「危険」というイメージも付きまとっています。
私自身、第一子を帝王切開で出産した病院(TOLAC非対応)で医師に次の出産方法について相談した際は、「なぜ下から産む必要があるの?帝王切開じゃダメなの?」と言われたり、インターネット上で情報収集している際に「TOLACして赤ちゃんまで危険に晒すのは産む人のエゴ」という趣旨の文章を見つけたり、否定的な意見が多いと感じました。
そこで、なぜ私はTOLACしたいのだろうか?なぜ日本ではTOLACは「危険」「エゴ」と言われやすいのか、考えてみました。
なぜ私はTOLACをしたいのか?
帝王切開が怖い・トラウマ!
私の場合、「経膣分娩がしたい」というより、「帝王切開が怖い」という理由が大きいです。
具体的には以下です。
- 帝王切開の手術中、麻酔が効きすぎて息がしづらくなり、このまま呼吸できなくなるかもという恐怖を感じた。
- 帝王切開時に使用した麻酔が原因で、硬膜穿刺後頭痛(髄液漏れによる頭痛)が起こり、入院中辛かった。
- 帝王切開の傷の痛みで2ヶ月以上日常生活が困難に。痛み自体は少しずつ減ったが、半年以上続いた。
- 繰り返し開腹手術することによる臓器癒着が心配。
特に、上記の1と3が恐怖で、もし今後の出産で計画帝王切開しか選択肢がないのであれば、妊娠するかどうかを迷うレベルだったため、1%でも帝王切開しなくて済む可能性があるのであれば、そちらに賭けたいという気持ちがありました。
経膣分娩を経験してみたいという、少しの興味
TOLACしたい理由の90%くらいは、先述した「帝王切開が怖い」という理由ですが、ほんの少し、経膣分娩ってどんな感じなんだろう?産後の回復はどう進むんだろう?と、経験として知りたい気持ちもあります。
他のTOLACしたい理由
帝王切開経験者でTOLACに興味がある他のケースとして、以下も聞いたことがあります。
- 帝王切開は立ち合い出産不可なことが多いので、経膣分娩にして家族に立ち会ってほしい
- 子どもを3人(以上)欲しいので、子宮負担を少なくするため、なるべく帝王切開の数を減らしたい

人の数だけ、TOLACしたい理由はありますよね!
なぜ日本ではTOLAC「危険」「エゴ」と言われやすいのか?
子宮破裂の可能性が高くなるのは事実
まず事実として、子宮破裂はTOLACでなくても発生し得ることですが、TOLAC時は割合が上がります。
過去に子宮の手術をしたことのない場合に子宮破裂が起こる頻度は、0.005%ほどと言われており、2万分娩に1例と極めてまれであるの対し、帝王切開の既往がある妊婦さんでは0.3%と有意に高くなっています。
TOLAC(帝王切開後の経腟分娩)で子宮破裂し赤ちゃんが死亡。病院はリスクを説明せず! | 産科医療LABO(富永愛法律事務所)地域で唯一の産婦人科医院で、TOLAC(帝王切開後の経腟分娩)による事故が約10年前にありました。TOLACと
そのため、単純計算すれば、0.0005%→0.3%はリスクが600倍になったと言えるので、危険と感じる人がいるのも無理はないと思います。
ただ、0.3%という数字をどう捉えるかは、人によって異なるところでもあります。
いくつか、他の例を見てみましょう。
- 1年間に自動車が盗難される可能性 約0.2~0.3%
車両盗難の現状 | 【公式】損保ジャパン - 1年間に交通事故に遭う可能性 約0.2%
交通事故に遭う、起こす確率はどれくらいか|対策や備えについても解説 | 共済コラム | ちょこっと共済 – 東京都市町村民 交通災害共済
こうして俯瞰して見てみると、0.0005%を0.3%にする選択をするかどうかはさて置き、0.3%が感覚として多いと感じるか少ないと感じるかは、個人差がありそうです。
0.3%という数字は、誰にとっても「受け入れられない危険」ではなく、どう向き合うかを考えるべきリスクなのだと感じました。
TOLACできる体制が整った病院が少ない
別の記事でも書きましたが、TOLACをする場合、子宮破裂などのリスクに備えて、病院は24時間緊急手術対応ができること等が求められます。
日本では産科医不足が深刻で(産婦人科医師の不足する現状とその背景―世界トップクラスの安全性でも訴訟が多い? | 医師転職研究所)、東京都内ですらTOLACできる病院が限られています。

そのため、TOLACそのものが危険というよりも、体制が整っている病院が少ないといった文脈で「TOLACは危険」と言われることがあるようです。
この点については、個人的な意見として、きちんと体制が整った病院を選ぶことで、解決できると考えています。
出産日の不確定さ
TOLAC検討→少なくとも1回以上は出産していて、そのうち1回は帝王切開 ということになりますので、1人以上、既にお子さんがいることになります。
TOLACでは陣痛促進剤が使えないケースが多く、自然に陣痛が来るのを待つ必要があるため、いつ・どのように出産することになるか予測することは難しいです。
一方、TOLACせず計画帝王切開を選択することで、計画していた日以前に緊急帝王切開になる可能性はもちろんあるものの、ある程度、計画を立てて準備することができます。そのため、既にお子さんがいる家庭は出産日の見通しが立つ計画帝王切開の方が助かるという声もよく聞きます。

個人的には、「産む人」がどうしたいのかが尊重されるべきであり、その気持ちに周囲は寄り添い、全力で協力して!と思います♡
間違っても、周囲が「いつ産まれるか分からないと困るから、計画帝王切開にして」なんて言わないでくださいね(怒)
TOLAC希望するための準備
私の場合、自分で考えたり調べたりしてみて、TOLAC希望にあたり以下をクリアしておくことが大切で、クリアしていれば、TOLAC希望したければすれば良い!という結論に至りました。
- TOLACのリスクを理解し、帝王切開になる可能性も含めて柔軟に受け入れる気持ちを持つ
- 緊急時の体制が整った病院を選ぶ
- 出産日が見通せない状況での上の子フォロー体制を構築しておく
1つずつ、補足していきます。
TOLACのリスクを理解し、帝王切開になる可能性も含めて柔軟に受け入れる気持ちを持つ
TOLACしても、100%経膣分娩できる訳ではありません。
個人の状況によるところが大きいですが、統計上の数字などを頭に入れておくことで、気持ちが先走らないように心の準備をすることができそうです。
一般にTOLACの成功率は60%~80%といわれています。
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成功率は、母体の年齢や肥満度・今までの経腟分娩歴の有無・前回帝王切開の理由、などに左右されることも当院の研究でわかっています。
eb6f504e7772ce6e10cc88cfaec6b1c0.pdf
緊急時の体制が整った病院を選ぶ
病院を探すにあたって確認推奨する事項については、以下にまとめました。ぜひご覧ください。

出産日が見通せない状況での上の子フォロー体制を構築しておく
TOLACに限らず、既に子どもがいる方が出産する場合に必要なことです。
特に正産期に入ってからは、配偶者をはじめ、(義)親、ベビーシッター、ファミリーサポート、ママ友など、誰かしらに都合つけてもらえるように事前に話をつけておきましょう。
いつ入院することになるか分かりませんので、以下全ケースにおいて、どのように動くかシミュレーションしてみましょう。
- 夜間入院のケース
- 平日昼間入院のケース
※上の子どもは自宅保育中 or 保育園/幼稚園/学校にいる、によって対応が変わってきますね - 土日昼間入院のケース

TOLAC希望するか悩んだり迷ったりしている方が、納得いく結論に行き着きますように!
TOLAC関係で他にも記事を書いています!良かったらご覧ください。
TOLAC | ワーママライフ 気付きのキロク





